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こんにちは。さくらキッズくりにっくの腎臓専門医です。
3歳児健診では、身長や体重、視力・聴力のチェックに加え、「検尿(けんにょう)」も行われます。
ですが、この時期のお子さんの検尿って実は結構大変!
おむつの子もまだ多くいるためどうやってとればいいんだろう?朝一番って書いてあるけど、声かけてもしてくれないなど、なかなかハードルが高く、健診時に採取できずそのままになっているお子さまたちを時々見かけます。
ですがこの検尿、実はお子さんの病気の早期発見にとても大切な検査なんです。
3歳児健診で行われる検尿の目的は、「先天性腎尿路異常(CAKUT)」(生まれつきの腎臓や尿の通り道の病気)や、慢性糸球体腎炎など、腎臓の働きに影響する病気を早期に発見することです。
これらの病気は、初期には症状がほとんど現れないことが多く、気づかれにくいものです。
しかし、放置していると将来的に腎機能が低下してしまうリスクもあります。
日本のデータでは、小児末期腎不全の原因の約40-50%がCAKUTに起因し、小児透析導入患者の約半数がCAKUT由来の腎不全と言われています。
健診での検尿は、そういった目に見えない病気の“サイン”を見逃さないための大切なチェックポイントになるんです。
「まだトイレトレーニング中だし…」「健診の朝にちゃんと採れるか不安」
そんなふうに思っている保護者の方も少なくありません。
3歳のお子さんは、トイレに慣れてきたとはいえ、まだ安定して排尿ができる年齢ではないことも多いです。特に、「朝起きてすぐに採尿」と言われても、タイミングが合わなかったり、うまくコップに採れなかったりすることもありますよね。
でも、ご安心ください。
*健診当日の朝でなくても、健診までの間の時間に採尿できれば提出可能です。
*会場での採尿が可能な場合もありますので、当日スタッフに相談してみましょう。
*どうしても難しい場合は、後日あらためて尿検査のみを受けることも可能です。
焦らず、できる範囲で対応すれば大丈夫です。
検尿で「尿たんぱく」や「尿潜血」などの陽性反応が出た場合でも、すぐに病気というわけではありません。しかし、再検査や精密検査でしっかり確認することが大切です。
日本小児腎臓病学会でも、かかりつけ医や専門医による精密検査を受けることを推奨しています。
当院でも、問診や診察、詳細な尿検査(尿中の赤血球の数、たんぱくの量など)、必要に応じて血液検査などを実施しています。
腎臓の病気と聞くと、「塩分制限」「運動制限」などが思い浮かぶかもしれませんが、小児の場合は制限が必要ないケースも多いです。
検尿で異常が見つかっても、緊急受診の指示がなければ、普段通りの生活で問題ありません。
3歳児健診は、世田谷区では集団健診の形式で行われるため、尿検査が当日に実施できず、そのままになってしまうことがあります。
しかし、今回お話しした通り、3歳時の尿検査はお子さんの健康状態を確認するうえでとても大切な検査です。
健診時に尿検査ができなかった場合でも、当院で尿検査を受けていただくことが可能です。「健診はもう終わっているけれど、尿検査を受けた記録がない」「健診当日に採尿ができなかった」といった場合には、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
当院の連絡先 :03-5451-0016
参考文献:
小児の検尿マニュアル(日本小児腎臓病学会)
滋賀医科大学医学部医学科 卒業、大津赤十字病院初期研修医、滋賀医科大学医学部付属病院 小児科、静岡県立こども病院 血液腫瘍科、聖マリアンナ医科大学病院 小児科助教
小児科専門医、血液専門医