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11月は乳幼児突然死症候群の対策強化月間です。

健診をしていてよくいただく質問に、「この子、うつぶせ寝が好きなんです。見つけたら戻すようにしているのですが、何か工夫したほうが良いですか?」というものがあります。乳幼児突然死症候群が世間に認知されるようになってから、赤ちゃんのうつぶせ寝が危険なものと認識されるようになりましたが、果たしてこれは本当なのでしょうか?今回は赤ちゃんのうつぶせ寝についてのお話です。

🌸乳幼児突然死症候群(SIDS)

これまでの健康状態および既往歴に問題がなく、死亡が予測できない、またその原因が同定されない、原則1歳未満の子供に突然の死亡をもたらす症候群のことです。生後2-6か月に多く、妊婦および養育者の喫煙、非母乳保育、うつぶせ寝などがリスクとして知られています。

当初3000人に1人で起こるとも言われていましたが、現在ではおよそ1万人に1人まで減ってきており、これは次に示す予防策の効果やSIDSから除外される例が増えてきたことによると言われています。

 

🌸SIDSを防ぐためには?

 <米国小児科学会からの推奨(Safe to Sleepキャンペーン)>

  仰向けに寝かせる

  寝具は硬めのマットレスや布団を使用する

  母乳育児が推奨される

  保護者と同室内に置いたベビーベッドを使用する

  柔らかいものやゆったりとした寝具は子供の睡眠エリアから遠ざけ

  妊娠中、出産後のタバコの煙への暴露、アルコールは避ける

  子供の体温が上がりすぎないようにする

 <厚生労働省の取り組み>

  1歳になるまでは寝かせるときは仰向けに寝かせる

  できるだけ母乳で育てる

  保護者などはたばこをやめる

などが言われています。

 

🌸うつぶせ寝は大丈夫?

お子さんは寝返りができるようになると、保護者が気をつけていても気づいたらうつぶせ寝になっていることはよくあります。うつぶせ寝がSIDSのリスクと知っていらっしゃるご両親の中には夜中に何度も起きてお子さんを仰向けに戻していらっしゃる方もいます。原則として1歳になるまではあおむけ寝が推奨されていますが、米国小児科学会および米国国立衛生研究所、厚生労働省は、お子さんが寝返りと寝返り返りの両方ができるようになっていれば、仰向けに戻す必要はないと提言しています。ただし、お子さんの周囲に毛布や枕、ぬいぐるみなどがないことを確認することが大切です。

 

うつぶせ寝が好きな赤ちゃんは意外と多いです。小さく生まれた赤ちゃんや呼吸に問題がある赤ちゃんなどは、うつぶせ寝にすることで呼吸が楽になって落ち着くこともあり、病院内では安全を確保しながらあえてうつぶせ寝にすることもあります。

 

自分で寝返りができないお子さんをうつぶせに寝かせるのは確かに危険です。ですが寝返りのできるお子さんたちに関しては、「うつぶせ寝」だけにとらわれて神経質になりすぎず、ベッド周りを整えるなどお子さんの安全をしっかり守る工夫が大切です。

 

厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000181942.html

院長 三井 俊賢
記事監修
院長 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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