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ある日、お子さんの足に赤いぶつぶつが。
虫刺されとも違うし、いつもの湿疹とも違う。
なんだか足が痛いと言って歩くのを嫌がったり、お腹も痛いと言っている 😥
こんな症状が現れたら、それは IgA血管炎 かもしれません。
今日は、お子さんの病気として小児科医の間ではよく知られているけれど、一般的にはあまりなじみのない IgA血管炎 についてお話しします。
体を守る免疫システムの一つである IgA という抗体が、全身の小さな血管に炎症を起こす病気です。
はっきりとした原因は分かっていませんが、風邪などの感染症が先行することがあり、溶連菌やマイコプラズマ、アデノウイルスなどが引き金になるとも言われています。
4〜6歳に発症のピークがあり、約90%が10歳以下で、男児にやや多い傾向があります。また、夏よりも冬に多く発症します。
主に4つの症状があります。
① 皮膚症状
最も特徴的な症状で、ほぼ100%に見られます。
主に足やおしりにできる、やや盛り上がった赤い紫斑で、指で押しても消えないのが特徴です。
経過とともに拡大して平坦になり、時間がたつとやや黄色っぽくなって、2〜4週で跡を残さず消えます。

② 関節症状
50〜80%に見られ、膝や足関節に多く起こります。
腫れや痛みがありますが、通常は1〜5日で自然に治ります。
③ 腹部症状
50〜80%に見られ、繰り返す腹痛や、嘔気・嘔吐、血便が見られることもあります。
症状が強い場合には、入院が必要になることもあります。
④ 腎炎
最も注意が必要な合併症です。
発症後4〜6週までの間に20〜60%で見られます。
多くは数か月から半年以内に自然に治癒しますが、遅れて発症することもあるため、定期的な尿検査や診察が必要です。
症状が強い間は安静が必要です。
軽症であれば無治療で経過観察が可能ですが、関節症状や腹部症状が強い場合には入院が必要になることもあります。
腹痛が強い場合には、ステロイドを使用することもあります。
腎炎については、血尿や蛋白尿が持続したり、腎機能障害を認める場合には、免疫抑制療法などの治療を行うことがあります。
一般的にIgA血管炎の予後は良好で、ほとんどは特別な治療を要さず自然に治ります。
約4人に1人が数か月以内に再発しますが、その多くは初回よりも症状が軽く済みます。
腎症状の有無については定期的な診察が必要ですが、多くの場合、半年から1年程度でフォローを終了できます。
今回は、少し聞きなれない病気である IgA血管炎 についてお話ししました。
小児科医にとっては比較的なじみのある病気ですが、皮膚症状のみで皮膚科で経過を見られていたり、足の痛みで整形外科を受診していたりと、なかなか診断にたどり着かないこともあります。
腹痛で受診された患者さんの足をめくっているのも、この紫斑がないかをチェックしているんです。
そんな少しやっかいなこの病気。
私にとってはとても思い出深い病気でもあります。
私が医学生だったころの小児科実習の初日、ここで失敗すれば即留年が決まるという噂の怖い教授の外来見学をしていたとき、この病気のお子さんがいらっしゃいました。
教授から「この患者さんの病気は何だ?」と聞かれ、心臓バクバクで必死に記憶をたどり、なんとかIgA血管炎(そのころはヘノッホ・シェーンライン紫斑病と呼ばれていました)と答えることができたので、今こうして無事に小児科医として働けています 🙂
次回は、足の赤いぶつぶつ②
「特発性血小板性紫斑病」 についてお話しします!
滋賀医科大学医学部医学科 卒業、大津赤十字病院初期研修医、滋賀医科大学医学部付属病院 小児科、静岡県立こども病院 血液腫瘍科、聖マリアンナ医科大学病院 小児科助教
日本小児科学会 小児科専門医、日本血液学会認定 血液専門医、小児血液・がん学会、日本血栓止血学会