花粉症のシーズンや暑い夏になると「うちの子、最近鼻血がよく出るんです」「朝起きると血で枕が汚れています」というお悩みをよく聞くようになります。ドラマで大量の鼻出血のあと、白血病と診断された!なんていうシーンがあるので、不安になって受診される方もいらっしゃいます。
今回はお子さんでよくある鼻出血についてのお話です。
🌸こどもの鼻出血
両方の鼻の間にある壁(鼻中隔)には細かい血管がたくさん集まっています(キーゼルバッハ部位と呼びます)。こどもの鼻出血の多くはここから前方にぽたぽた垂れる出血です。こどもは大人に比べて鼻の軟膜が弱いため、鼻出血を起こしやすいと言われています。
🌸原因
単純に指で鼻をほじることで出血します。
またお子さんは風邪を引くことも多いので、鼻をかむことで粘膜が傷つき、出血することもあります。
また頻繁に鼻出血を起こす原因として、鼻炎やアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎など慢性的な鼻の炎症もあります。
🌸対処法
慌てずに座らせて軽くうつむかせます。
鼻のふくらみ(小鼻の部分)を親指と人差し指でしっかり10分ほどつまみましょう(片方からの出血の場合は片鼻だけで大丈夫です。)
血が口の中に垂れてきたら、飲み込まずに吐き出しましょう。血液は飲み込むと気持ち悪くなってしまいます。
お子さんは鼻をずっと抑えておくのが難しい場合もあります。そんなときは脱脂綿を鼻にしっかり詰める方法もあります。その際には脱脂綿にワセリンかプロペトを塗っておくと、詰め物を取る際にせっかくできたかさぶたまではがれて、再出血してしまうことを防ぐことができます。
止まったかな?と何度も鼻をつまんでいる指を外したり、詰め物をすぐとったりするのは逆効果になります。出血に対してはしっかりとした圧迫止血が基本です!
🌸こんなときは病院へ
適切な処置をしても30分以上血が止まらない場合、顔色が悪い、洗面器いっぱいの出血、頭や顔を強くぶつけたあとにさらさらとした薄い血液が出てくる場合(頭蓋底骨折の可能性があります)には、速やかに病院を受診してください。
また頻回な鼻出血に加えて、あざができやすい、歯茎からの出血があるなど、他にも出血しやすい様子があれば、血液の病気が隠れている場合がありますので、早めの受診が必要です。
お子さんはよく鼻血を出します。そういえば最後に鼻血が出たのはいつだろうと考えますが、もう思い出せないくらい昔ですね。白血病などの血液疾患を心配されてお越しになる方も多いですが、長年白血病治療に携わってきた経験からすると、鼻出血だけで白血病と診断されたケースはありませんので、ご安心ください。