ブログ
Blog
Blog
「目をぱちぱちと瞬きを繰り返します。チックでしょうか」と相談されることがあります。
チックとは、一瞬のぴくっとした動きを繰り返す動きを指します。
お子さんの20パーセントに見られるとされ、典型的には4~6歳で始まります。数か月で落ち着く場合は、単なる「くせ」ととらえられ、自然に消失していることもよくあります。
チックの症状
チックの症状には、運動性と音声の二種類があります。
運動性チック
例:目をぱちぱちと瞬きを繰り返す、首を横にひねる、肩をすくめる、顔をゆがませる
音声チック
例:鼻をすする、喉をならす、うなり声のような発声、咳払い
チックはストレスが原因なの?
数か月で落ち着く場合もありますが、まれに長期的につづく場合もあります。転居や進級・進学、発表会の時期など、ストレスや疲労がかかるときに、症状を悪化させる可能性があります。しかし、リラックスしている時に最も目立つことが多いです。たとえば、診察室ではチックが目立たなくても、自宅でテレビを見ている様子の動画をみせてもらうと、チック症状が目立っている場合もあります。
また、チック症状があったときに、「育て方が悪かったのでしょうか」と聞かれることもありますが、チックを起こしやすい大脳の特性が基礎にあると言われています。そのため、わざとやっているわけではないのです。ストレスがきっかけにすぎず、脳の特性によって症状が引き起こされているのです。チック症状は注意でおさまるものではありません。注意によって改善することはなく、むしろ悪化することがあるので、注意は禁物です。注意することなく、そっと見守ってあげましょう。
チックの治療って必要?
治療は、お子さんが困らない限り必要はありません。中には、「声が出てしまって困る」と自ら母親に伝えて受診される場合もあります。その場合には、お子さんと親御さんと相談の上で、内服加療を行うこともあります。
チック症状をお子さんに認めたときに、心配になって見守るのは難しいかもしれません。しかし、チック症状のみを注目するのではなく、お子さんのありのままできているところに目を向けるようにしていきましょう。昨日よりも今日、1か月前よりも今日、1年前よりも今日、過去のお子さんの姿と比べてみてください。できるようになっていること、成長してきていることはありませんか?お子さんと一緒に、成長に目をむけていけると良いでしょう。
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長
医学博士、小児科専門医、小児科指導医