すっかり夏らしい気候になってきましたね。暑さにやられてお子さんたちも体調を崩しやすくなっています。くりにっくにも風邪症状でのお子さんの受診が増えてきました。予約を取られてから診察までの時間が、通常よりも長くなり、誠に申し訳ございません。
診察をしていてよく保護者さまから、「風邪ですか?」「以前に気管支炎と言われたことがあるので心配です。」「〇〇ウイルスが流行っているので検査したほうがいいですか?」などご質問をいただくことがあります。 今はテレビやインターネットなどでいろいろな情報があり、また新型コロナの流行もあって、これまでは「風邪かな」で済んでいたことがいろいろと複雑になってしまっていますよね。
今回はお子さんの「風邪」について、少し整理したいと思います。
🌸いわゆる「風邪」とは?
「風邪」は一般的には気道の急性感染症のことを言います。感染した部位や症状によって「咽頭炎」「喉頭炎」「急性上気道炎」「急性気管支炎」などに分けられます。また分かりやすく消化器の急性感染症、いわゆる「胃腸炎」を「おなかの風邪」と呼んだりもします。 わたしたち医療者が使う病名を分かりやすく「風邪」という言葉を使って説明しています。
🌸「風邪」の原因は?
原因の90%がウイルスと言われており、その種類は200種類以上とも言われています。よく聞く名前だと、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどがあります。一部細菌による風邪があり、その代表的なものが溶連菌、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌などです。
🌸「風邪」の診断と治療は?
「風邪」は主に症状から診断します。症状から感染の場所が推定される場合には「咽頭炎」「急性上気道炎」となりますが、病名によって治療が変わることは少ないため、名前をつけることにあまり大きな意味はありません。 また200種類以上あるウイルスのうち、ほんの一部が検査できるものであること、またウイルス感染に対する治療は一部のウイルスを除きほとんどが症状に対する対症療法になることから、必ずしも痛い思いをしてまで原因ウイルスを見つける必要はないと言えます。ただし、感染拡大予防という観点から、隔離が必要なインフルエンザや新型コロナウイルスなどは検査が必要ですし、発熱が長引くときには原因が分かったほうが少し安心できるという場合には検査をすることもあります。 また溶連菌などの細菌感染症に関しては抗菌剤が有効であるため、疑わしい場合には検査が必要になります。
🌸「風邪」の注意点
「風邪」と聞くと一般的には症状が軽く自然に治るイメージがあると思います。実際にお子さんのほとんどがそのような経過をたどります。しかし一部のウイルスではぜいぜいして呼吸が苦しくなり、追加の治療が必要になったり、経過が長くなると中耳炎や肺炎を合併し、抗菌剤や入院が必要になるケースもあります。これがいわゆる「風邪をこじらせた」状態です。
過度に心配しすぎることはありませんが、症状に変化があったり、経過が長かったり、お子さんの様子がいつもと違う場合には、一度診察にいらっしゃっていただくことをお勧めします