心理検査について ①知能検査編|世田谷区、桜新町の小児科|さくらキッズくりにっくのブログ

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心理検査について ①知能検査編

 こんにちは、さくらキッズくりにっくの心理士です。今回は当院の発達外来で使用している知能検査についてお話します。

 日本には、標準化された(どこで検査しても同様の検査結果が得られるように測定方法(検査を行う専門家や手順等)や分析方法が定められている)心理検査が複数あり、全般的な認知機能を測定するものを知能検査と言います。

<知能検査の種類>

 対象年齢や開発された理論が異なる様々な知能検査がありますが、当院で使用しているのは以下の2種類です。

  • 田中ビネー知能検査Ⅴ(標準適用年齢;2歳~)

子どもの年齢に合わせた問題を実施し、正解率によって年齢階級を上下しつつMA(精神年齢)・IQ(知能指数)の数値を導き出します。幼児期は1歳違うだけでも発達水準やペースに差が出るため、今の年齢と発達状態に合わせた支援の検討に有効とされます。近隣自治体の就学相談で用いられることが多いことや、所要時間が1時間弱と短くお子さんが取り組みやすいことなどから、就学前後のお子さんに適用しています。

  • WISC-Ⅴ (標準適用年齢;5歳~16歳11ヶ月)

近年最新版の日本語版WISC-Ⅴが発売され、当院でもWISC-Ⅴを導入しています。特定の認知領域の知的機能を表す5つの主要指標得点(VCI、VSI、FRI、WMI、PSI)と全般的な知能を表す合成得点(FSIQ)が算出でき、WISC-Ⅳと比べより詳細な認知特性が把握できるようになりました。

小学校以上の学校教育の現場ではWISC検査の結果の把握に慣れた先生方が多く、客観的な測定数値を用いた支援連携に役立ちますが、所要時間が1時間半~2時間と長く、お子さんが落ち着いて取り組める年齢・状態で実施することが重要です。

<知能検査の実施で大切なこと>

 お子さんに知能検査が必要か、どの検査が相応しいかは、専門家が判断することが望ましく、学校の先生からのアドバイスや診察での見立てをもとに、当院では医師が判断します。

 知能検査の本来の目的は、IQの数値からお子さんの知能が高いか低いかを判断することではありません。お子さんの得意なこと・苦手なことを客観的なデータを通して知ることで、日常生活での関わりや支援に活かしていただくことです。検査中に観察できる取り組み姿勢(態度)も重要な情報であり、領域ごとの取り組み姿勢と数値結果を照らし合わせ、心理士がお子さんの認知の特徴について、解釈を加えます。

<知能検査をどのように使う?>

 支援に関わる関係者(医師、教育現場の先生方、療育の先生方等)が結果について理解でき、得られた情報を日々のお子さんの支援に役立てていただくことが大切です。当院では、関係者の皆様が理解しやすい検査の選択、報告書作りを重視しています。学校や園の先生の面談の場に、報告書のコピーを持参してお役立てくださる方もいらっしゃいます。検査の結果説明は15分程度で医師が行っていますが、自費にて、心理士にてじっくり検査結果説明を行うことも可能ですので、検査を受けるときにご相談ください。

院長 三井 俊賢
記事監修
院長 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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