指しゃぶり、どうしてするの?|世田谷区、桜新町の小児科|さくらキッズくりにっくのブログ

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指しゃぶり、どうしてするの?

指しゃぶりは子どもに見られる癖の一つです。

お母さんのお腹の中にいるときに、胎生14週ころより胎児は口を手に持っていき、24週ごろには指を吸う動きが出てきます。32週ごろには指を吸いながら羊水を飲み込む動きが出てきます。この時期の指しゃぶりは、生まれてすぐに母乳を飲むための練習として重要な役割を担っています。

生まれた直後は、母乳・ミルクを飲む哺乳に関する反射(吸啜(きゅうてつ)反射など)があり、指を口に触れさせると上手に指しゃぶりをします。生後24ヶ月では、口のそばにきた指や物を捉えて吸うことができます。生後56ヶ月では、手を伸ばしつかみ、なんでも口に持っていき、しゃぶるようになります。

乳児期前半の指しゃぶりは、手と口の協調的な運動の始まりであり、手・指・口の感覚を通じて、自分の体を知っていく面で価値がある物である。そのため、特に指しゃぶりを控える必要はありません。その後、お座りやはいはい、捕まり立ちなど、大きい動きの運動が発達につれて、指しゃぶりが減ってきます。

12歳になってくると、未知の体験をして不安や緊張が高くなることがあり、指しゃぶりをして、不安や緊張を鎮めて精神的安定を得るための手段になっていることが多い。また、この時期の発達は著しく、口や手がおしゃべりや遊びに使うようになると、昼間の指しゃぶりは減少します。指しゃぶりは退屈なとき、眠い時のみなどに、時間が短くなってきます。乳児期後半までの指しゃぶりは気分を落ち着かせる効果があり、言葉で気持ちを表現できない乳児にとっては必要な物です。この時期までの指しゃぶりは、見守る対応で良いです。

34歳になると、遊びが広がるため、指しゃぶりはほとんどしなくなります。指しゃぶりの発達面での必要性は無くなるが、不安・緊張を和らげる手段としての価値が高まります。指しゃぶりを無理に外すといことでなく、そっと優しく外し、手先を使う遊びに促し、ハグなどでスキンシップを取るなど、気分を落ち着かせる他の方法を探していきましょう。

6歳になっても稀に昼夜、頻回に指しゃぶりをしている子がいます。この時期の指しゃぶりは、癖になっています。体の一部を愛着の対象にしていると考えられ、周囲からの負荷などが要因として関係していることが多いです。

「指をすっていることはいけないこと」と否定的に捉えず、まずはありのままを受容することが大切です。「指を吸っていたから上手にミルクが飲めたね」「こんなに大きくなったよ」と指しゃぶりをしているありのままの自分が親に認められている、受け入れられているという安心感を強化していくことが大切です。指しゃぶりがどんなときに吸っているのかをお子さんと一緒に振り返ってみるのも大切です。行動を振り返ることで、指しゃぶりの癖の理解も進み、お子さん自身が癖をやめたいと思ったら、手袋などの補助的用具を着用するのも良い方法です。指しゃぶりが少しでも減ってきたら、以前よりも回数が減ってきたね、と良い変化に注目した声かけをするのも効果があるでしょう。

指しゃぶりをしている我が子をみると、育児がちゃんとできていないと落ち込んでしまう、子どもに寂しい思いをさせているのではないかと心配になる、と話される親御さんもいます。

言葉、運動の発達に個人差があるように、情緒の発達にも個人差があります。お子さんのペースを見守りつつ、少しずつ癖を緩められると良いですね。

院長 三井 俊賢
記事監修
院長 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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