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☆こどもの事故 意外と危ないこんなもの⑤ 身近にある危険な液体

市販の咳止めの過剰摂取による薬物中毒が問題になっています。身体を助けてくれるお薬ですが、使い方によっては毒になり、健康を損なってしまいます。

中毒というと薬剤が比較的よく知られてはいますが、それ以外にも身近には誤って過剰摂取すると中毒症状を起こす液体があります。本日は実際にあった3つの事例をご紹介していきたいと思います。

 

①アロマディフューザー

1歳4か月の男児。母が目を離した隙にトイレの洗面台にあったアロマディフューザーの液体を誤飲した(トイレには兄弟のための踏み台があった)。嘔吐と発熱を認めたため病院を受診し、化学性肺炎に対して約2週間の入院した。

アロマディフューザーには刺激性の強い精油や石油系の有機化合物が含まれていることがあり、万が一誤飲してしまった場合には吐かせずに受診する必要がある。化学性肺炎や意識障害を起こすことがあり、乳幼児の手の届かないところに設置するか、使用を控える。

 

②速乾性手指消毒剤

5歳の男児。保育園のお昼寝中に、手指消毒剤をこっそりなめ続けていたところ突然うずくまり、呂律が回らなくなった。病院受診中に意識が悪くなったため救急搬送された。経過観察のみで後遺症を残さず回復した。なお男児は消毒液を「美味しくなかったけど、気になったからなめた」と言っていた。

消毒用エタノールは、小児だと体重あたり0.5㎖で重症な中毒症状が発症する。今回の例では11㎖程度(約4プッシュ)の誤飲で重篤な症状が起こってしまう計算になる。コロナ感染拡大に伴い日常的に消毒剤を使用することが増えてきたが、必ず乳幼児の手の届かない場所で保管すること、また大人と一緒に使用し、眼や顔にもかからないようにするなどの注意が必要である。

 

③エナジードリンク

8歳の男児。近所の自動販売機で500㎖のエナジードリンクを購入し、一気に飲み干した。1時間半後に嘔気が出現したため、医療機関を受診した。特に治療を要することなく回復した。

日本でエナジードリンクと呼ばれている飲料にはカフェインやビタミンなどが入っている。カフェインの致死量は、推定摂取量 6.0〜36.0gあるいは血中濃度 200 μg/mL以上とされている。小児では体重あたり 20mg 程度で嘔吐などの中毒症状が出現し、体重あたり80~100mgになると重篤な中毒症状を示すとされている。またカナダ保健省は4〜6歳:最大 45 mg/日、7〜9 歳:最大 62.5 mg/日、10〜12 歳:最大 85 mg/日までにするように提案している。これは日本で市販されているエナジードリンクを1本飲むと超えてしまう量である。

カフェイン摂取量や中毒に関する正しい知識を持ち、子どもたちに安易に摂取させないように気を付ける必要がある。

 

年末年始はなにかと忙しいですね。大掃除などで物の位置が変わったり、いつもと違う場所に行ったり、お子さんからどうしても目が離れる機会が増えると、こういった誤飲・誤嚥の事故が増えてきます。

危険なものは意外と身近に潜んでいます。正しい知識を身に着けて、危険からお子さまたちを守っていきましょう。

院長 三井 俊賢
記事監修
院長 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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