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乳児健診をしていてよくいただくご質問に、身体にできたあざや母斑があります。「これって何ですか?」「悪いものではないですか?」「これは消えるものですか?」大切なお子さんの身体にできているもの、気になりますよね。
今回は赤ちゃんに見られるあざの中でもひときわ赤く目立つ「イチゴ状血管腫」についてお話したいと思います。
○どんな病気?
皮膚表面や内部にてきるいわゆる「赤あざ」の一種です。見た目が赤く、いちごのような外観から「いちご状血管腫」と呼ばれています。頭や顔にできることが多く、日本人の発生率は1%程度と言われています。原因はわかっていません。
○分類:①局面型:皮膚表面からわずかに盛り上がり、わりと早く消えます。
②腫瘤型:いちごを半分にして皮膚に置いたような形で、消えるのが遅く、しわになったりしやすいです。
③皮下型:表面には変化がなく、皮膚の下に腫瘤を触れます。
○自然経過:①増殖期:生後2週間程度であらわれ、生後1-2か月で増大します。
②退縮期:1歳をピークに徐々に小さくなり、90%以上で5-7歳までに消えます。
③消失期:局面型はほとんど跡を残さず消えます。皮下型・腫瘤型でも小さいものであればほぼ消えますが、腫瘤が大きいものは瘢痕などがある場合があります。
○治療方法:
①経過観察:基本的には自然消退するものなので、無治療で経過観察を行います。
②プロプラノロール:美容的に問題があったり、身体に異常をきたす場合には、飲み薬による治療を行うことができます。生後2-5か月までに治療を始めます。呼吸困難や低血糖、低血圧などの副作用があるため、少しずつ飲む量を増やすなどの工夫が必要です。1歳のお誕生日を目安に、効果を見ながら飲み薬はおしまいになります。
③色素レーザー治療:自然退縮を早める効果と、生後2-3か月以内に開始できればピーク時の大きさを小さくする効果が期待できます。
④手術:退縮後の瘢痕や皮膚のたるみなどに直すために、通常は7歳を過ぎてから局所麻酔で行います。
赤ちゃんには、今回ご紹介したいちご状血管腫のほかに、ウンナ母斑、サーモンパッチ、扁平母斑、異所性蒙古斑などいろいろなあざがあります。
曜日に限りはありますが、当院では予約制で皮膚科外来も行っています。お子さんのあざなど気になることがあれば、まずはくりにっくまでお問い合わせください。
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長
医学博士、小児科専門医、小児科指導医