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「僕は障がいなの?」
「子どもから突然聞かれて、どう答えたら良いか分かりませんでした」
こんにちは。さくらキッズくりにっくの心理士です。今回は「子どもへの障がい告知」についてお話しします。このテーマは非常にデリケートで、多くの親御さんからご相談をいただいています。お子さんにとって最適な告知のタイミングや方法は、個々のケースによって異なるため、一概に言うことは難しいですが、お子さんが深く傷つくといったリスクを軽減する方法については、これまでの調査からある程度わかってきています。
まず大前提として、お子さんに告知をするメリットは何でしょうか?
「自分の得意なことや苦手なことを理解し、苦手なことを補う方法を学び、必要な時には支援を求めて、自分らしく堂々と生きてほしい」
親御さんには、こうした願いがあるのではないでしょうか?また、大人になったときに自ら合理的配慮を求めたり、福祉サービスを利用したりするためには、本人が診断名を知っている必要があります。
一方で、「告知によって深く傷つき、自暴自棄にならないか」「障がいがあるからと努力をやめてしまうのではないか」という不安もあると思います。当然そのリスクもゼロではありません。
これらを踏まえた上で、「診断名(障がい名)まで伝えるべきか」「診断名は伝えず、特性の説明に留めるべきか」をまず検討することが重要です。
お子さんが前向きに告知・説明を受け入れるための条件(リスクを軽減する条件)は、以下の通りです。
⚪︎お子さん側の条件
* 自分が周囲と少し違うと気づいていること。
* 特性に関する説明を理解できる力があること。
* 支援を受けてうまくいった経験や、工夫によって困難を乗り越えた成功体験があること。
これらの条件が整う時期には個人差があり、年齢だけで決めることはできませんが、一般的に8歳以前だと難しいとされています。
⚪︎タイミング
* 大きな環境の変化がない、生活が安定している時。
⚪︎親御さん側の条件
* 両親や家族で方針が一致していること。
* 親御さん自身が、子どもの特性を長所として受け止めていること。
⚪︎伝え方
* 長所から話を始め、苦手な点よりも長所を多く伝える。
* 苦手なことへの対処法や代替手段を伝える。
⚪︎誰が伝えるか
* 子どもが信頼していて、継続的に支援できる人が望ましい。
* 過去の調査では、親が告知するケースが圧倒的に多いです。親が告知する場合、専門家と相談しながら進めると良いでしょう。
これらの条件が整っていることで、お子さんが自分の特性を前向きに受け入れやすくなります。中には、「自分の努力不足ではない」と理解して、安心するお子さんもいるでしょう。
冒頭に書いたように、子どもは突然「僕は障がいなの?」と聞いてくることがあります。その時、親御さんが自信を持って答えられるよう、準備しておけると良いですね。
今回のブログは、以下の書籍・文献を参考にしています。具体的な伝え方などを詳しく知りたい方は、ぜひご覧ください。
氏家享子(2018). 発達障害児本人への診断名告知について考える:様々な疾病・障害も含む診断名告知に関する研究動向から.東北福祉大学研究紀要
吉田友子(2023).自閉スペクトラム 「自分のこと」のおしえ方:増補版 特性説明・診断告知マニュアル.Gakken
慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長
医学博士、小児科専門医、小児科指導医