読み書きの「苦手」を放置してはいけない理由|世田谷区、桜新町の小児科|さくらキッズくりにっくのブログ

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読み書きの「苦手」を放置してはいけない理由

「日々の宿題に苦戦する」「漢字がどうしても覚えられない」「音読がたどたどしい」…お子さんのそんな姿を見て、「うちの子、少し学習が苦手なのかな?」と不安を感じている保護者の方は少なくありません。一方で、「いずれ上手になるだろう」「今はまだ様子を見よう」と、専門機関への相談をためらってしまうこともあるでしょう。

しかし、もし本人の努力では補うことができない困難さがあるとしたら…?知的発達に遅れがないにも関わらず、読み書き計算等、特定の学習に困難を示す「学習障害(LD)」が隠れていたとしたら…?

 

今回の「ヨミカキのミカタ」では、学年が上がる前に知っておきたい、読み書き障害の早期発見、早期サポートの大切さについて解説します。当くりにっく、読み書きサポートラボからの発信です。

 

【事例】高学年で見つかった場合の現実と、関わりの難しさ

ここで、小学校5年生でLDの特性が判明したお子さんの事例(新潟大学の研究報告より)をご紹介します。このお子さんは、話を聞いたり考えたりする力には問題がなく、会話も年齢相応にできていました。しかし、文字になると、読むときに音を間違えたり、漢字を書くことがうまくできなかったりと、強い苦手さがありました。

それまで特に支援を受けてこなかったため、「どうせやってもできない」という気持ちが強くなってしまっており、少し難しく感じると「やらない」「わかんない」と、全く取りくもうとしませんでした。また、誤りを指摘されると指導者に背中を向け、助言を受け入れることもできませんでした。本来であれば少しずつ積み重ねるはずの学習習慣や課題への耐性、達成感や意欲が十分に育っていなかったのです。

そこで支援では、「できることから始める」を大切にしました。漢字はまず読む練習を中心にし、書くことが難しい場合はパソコンで入力する方法も取り入れました。また、カタカナや音のルール、九九なども一つずつ丁寧に確認していきました。

続けていく中で、少しずつ「やってみよう」という気持ちが育ち、間違えても直そうとする姿勢や、自分から考えようとする様子が見られるようになりました。本来持っていた知的好奇心が、ようやく表に出てくるようになったのです。しかし、こうした変化が見られるまで、つまり、学習の土台に乗るまでには長い時間を要しました。

 

■ 読み書きの困難は「学び全体」に影響する 

読み書きの苦手さは、単に「文字が読めない・書けない」という問題だけではありません。上記の事例のように、心理面への影響の他、学び全体にも大きく影響していきます。

子どもは、文章を読んだり書いたりする中で、語彙を増やし、自分の考えを整理し、理解を深めていきます。思っていることを文章にし、読み返して直す…こうした経験をくり返すことで、考えは少しずつ整理され、より深い理解につながっていきます。

しかし、読み書きに困難がある子どもにとっては、この「読んで、書いて、見直す」という作業そのものが大きなハードルです。「どうせできない」と感じてしまうと、最初から取り組まなくなることもあります。

その結果、本来であれば行われるはずの「書き言葉に触れること」「考えを整理して、書き表し、推敲すること」といった大切な学びの過程への経験が不足していきます。それは、抽象的に考えたり、複雑なことを理解したりする力の育ちにも影響が出てくると考えられるのです。

 

■ 支援があれば学びは広がる 

ただし、読み書きが苦手だと上記のような学習経験ができなくなるかと言えば、決してそうではありません。自分で読むことが苦手でも、大人が代わりに読んであげれば書き言葉に触れることができます。PC・タブレット端末の音声読み上げや、音声教材を使用する方法もあります。

書くことが難しい場合も、大人が代わりに書いたり、下書きを支援したり、キーボード入力や音声入力を使ったりすることができます。このように、困難があっても学べること、学ぶべきことはたくさんあります。

私達がディスレクシア(読み書き困難)や学習障害(LD)を抱えるお子さんと向き合う中で最も胸が痛むのは、その子が学習を強く拒否する姿から、これまでの深い傷つきと自信の喪失が感じられたときです。また、「もっと早く気づいてあげられれば」というご家族の後悔の声に触れたときです。ですが、まずは気づくことが大切です。そして気づいたそのときから最善を尽くせば良いのです。

 

お子さんが読み書きに苦戦しているとき、「あれ?ちょっと苦手かな?」という小さな違和感をそのままにせず、ぜひ専門家に相談してみてください。当くりにっくの読み書き相談でもご相談をお受けしています。「受診した方が良いか、まだ様子見で良いか」「どんな検査を受ければ良いのか」「まず何をしたら良いのか」など、オンラインでのご相談も承っていますので、お気軽にご相談ください。

 

参考文献

入山満恵子(2015).読み書きに困難さを持つLD児への学習支援―小学6年時一年間の指導の経過―.新潟大学教育学部研究紀要,8(2),193-201.

 

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ヨミカキのミカタ (ディスレクシア・ディスグラフィアへの正しい理解と支援を広める啓蒙ブログ) 

 

院長 松岡 明希菜
記事監修
院長 松岡 明希菜

滋賀医科大学医学部医学科 卒業、大津赤十字病院初期研修医、滋賀医科大学医学部付属病院 小児科、静岡県立こども病院 血液腫瘍科、聖マリアンナ医科大学病院 小児科助教

日本小児科学会 小児科専門医、日本血液学会認定 血液専門医、小児血液・がん学会、日本血栓止血学会

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