子宮頸がんワクチンの接種勧奨が再開されています!|世田谷区、桜新町の小児科|さくらキッズくりにっくのブログ

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子宮頸がんワクチンの接種勧奨が再開されています!

子宮頸がんワクチンの接種勧奨が令和4年4月に再開されてそろそろ半年が経とうとしています。当院の実感として若干接種をご希望の方が増えたものの、依然としてこのワクチンに対する必要性の認知が低い印象があります。

私は長年小児がんの治療に携わってきました。白血病や固形腫瘍のお子さんたちのご両親が必ずおっしゃるのが、何かしていればこの病気を防げたのではないか、という後悔です。実際には残念ながらがんはなかなか予防できるものではありません。そんな中、唯一予防することができるのが子宮頸がんなのです。

🌸子宮頚がんの発症とヒトパピローマウイルス(HPV)感染について

 子宮頸がんは、HPVが持続的に感染することで異形成を生じた後にがんになります。HPVに感染した人の多くは数年以内にウイルスが消失することが分かっていますし、子宮頸がん自体は早期に発見されれば、決して治せないがんではありません。

 しかしながら、HPVは広くまん延しているウイルスであり、現在日本では年間約9,800 人の子宮頸がん患者とそれにより約3000人が亡くなっています。

 またHPVは子宮頚がんだけではなく膣がん、肛門がん、陰茎がんなどにも関連しています。

 

🌸世界中から報告されている子宮頸がんワクチンの効果

 子宮頸がんワクチンが2006年に導入されたアメリカからの報告では、14-19歳で71%、20-24歳で61%のワクチンタイプHPV感染が減少しました。またワクチンに含まれている型以外にも予防効果が示されていました。

 その他スウェーデンの報告では、17歳未満のワクチン接種で子宮頸がんリスクが88%減少しました。英国では、12-13歳のワクチン接種で87%減少しました。

 

🌸日本では一体どのくらい効果があったのか?

 このワクチンはまだ導入後間もないので、現時点での予防効果は推測しかできませんが、子宮頸がん予防ワクチン投与により、罹患率を約1%から約0.5%程度に下げると予想されています。子宮頸がんワクチンの日本での販売開始以降、予防接種により回避する ことができた子宮頸がん罹患者数は 13,000 人-20,000 人、回避することができた子宮頸がんによる死者数は 3,600 人-5,600 人と推計されています。

 

🌸子宮頸がんワクチン接種の世界の状況

 現在世界120か国以上で、公費による子宮頸がんワクチン接種が行われています。9価ワクチンが導入されている国もあり、それにより子宮頸がんの90%前後が予防可能となると言われています。また一部の国では男児への接種も行われ始めています。

 

🌸日本での接種状況

2010年に公費助成が開始されてからは7割という高い接種率を保っていましたが、2013年6月に「接種後の女児の多様な症状」に対して積極的勧奨の差し控えが発表されて以降、接種率は急激に低下し、1%にも満たない状況が続きました。今回接種勧奨が再開されたことで、接種率が増えることが期待されています。

 

もちろんワクチンですべての子宮頸がんを予防できるわけではありませんし、定期的な健診は必要です。ですががんを予防できる可能性のあるワクチンは、現時点ではこの子宮頸がんワクチンしかありません。

勧奨再開となったこの機会にぜひ一度、接種に関してご家族で話し合ってみてください。

なお当院では定期接種の対象ではありませんが、9価ワクチンの取り扱いもございます。

何かご不明な点がございましたら、くりにっくまでお問い合わせください。

院長 三井 俊賢
記事監修
院長 三井 俊賢

慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程修了、慶應義塾大学医学部 小児科、慶應義塾大学関連病院、慶應義塾一貫校校医、医療法人社団 育心会 理事長

医学博士、小児科専門医、小児科指導医

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