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WISCの結果は問題なし。でも、読み書きが苦手…その陰に隠れた『LD(学習障がい)』のサイン

このブログは、読み書きの困難(ディスレクシア・ディスグラフィア)への正しい理解と支援を広める啓蒙ブログ「ヨミカキのミカタ」読み書きサポートラボからの発信です。

「文字を読むのが遅く、たどたどしい」「書くことが極端に苦手」「宿題をひどく嫌がる」……。 そんな切実な思いで受けたWISC(知能検査)の結果が、「平均的ですよ」「目立った凹凸はありません」というものだったら、親御さんはどう感じるでしょうか。

ホッとすると同時に、「じゃあ、どうしてこの子はこんなに苦しんでいるの?」と、原因がわからないまま、かえって答えのない迷路に入り込んだような気持ちになるかもしれません。

実は、知能検査の結果が平均的であっても、読み書きに深刻な困難を抱えているケースは決して珍しくありません。

「WISCの結果は普通だと言われたけれど、どうしても違和感が拭えない」… そんな思いを抱えて、当院へご相談に来られる方もおられます。それは、親御さんがお子さんの「小さなSOS」を、それだけ丁寧に見守っている証拠でもあります。

「IQが平均的 = 学習に支障がない」という誤解

「知能指数(IQ)が平均なら、勉強も問題なくできるはず」というのは、大きな思い込みです。 WISC-Vは非常に優れた検査ですが、決して子どものすべてを測定できる「万能な道具」ではありません。

最新の知能理論(CHC理論)によれば、知能には主要な領域が10ありますが、WISC-Vが測定しているのはそのうちの5領域です。つまり、残りの5領域に困難の原因がある場合、WISCの結果が「平均的」であっても、お子さんは人知れず苦戦を強いられている可能性があるのです。

 

なぜWISCだけで判断できないのか?

その最大の理由は、WISCには「文字を読む・書く」「文章を読み解く」といった課題そのものが存在しないからです。 また、文字の習得に不可欠な「音韻意識(音を頭の中でイメージしたり操作したりする力)」などを測定する項目もありません。

つまり、WISCだけでは読み書きやつまずきの真因は評価できないのです。 本来であれば、以下のような検査を組み合わせて総合的に判断する必要があります。

・読み書き検査: STRAW-R、音読検査、URAWSS II など

・学習面も評価する検査: KABC-II など

もし、こうした詳細な評価をせずに「様子を見ましょう」と言われ、親御さんの中に違和感が残るようであれば、セカンドオピニオンを検討することをお勧めします。

 

お子さんの「頑張り」を適切な支援につなげるために

さらに専門的な話をすると、数ある読み書き検査の中でも「どの部分を測れるか」は検査によって異なります。お子さんの困難を的確にあぶり出すには、適切な検査を選定する専門性が必要ですが、そこまで対応できる相談機関はまだ非常に少ないのが現状です。

当くりにっく読み書き相談では、こうしたご相談も承っています。

・これまでに受けた検査で、お子さんの読み書き能力を正しく評価できていたか?
・今後、どのような検査を受けるべきか?
・家庭や学校で、具体的にどう支援すればいいのか?

数値には表れないお子さんの「頑張り」を、適切な支援へとつなげるお手伝いをいたします。オンライン相談も可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。

 

【参考文献】 大六 一志「知能検査の“正しい”理解」(『小児科』第58巻1号、2017年、27-32頁)

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院長 松岡 明希菜
記事監修
院長 松岡 明希菜

滋賀医科大学医学部医学科 卒業、大津赤十字病院初期研修医、滋賀医科大学医学部付属病院 小児科、静岡県立こども病院 血液腫瘍科、聖マリアンナ医科大学病院 小児科助教

日本小児科学会 小児科専門医、日本血液学会認定 血液専門医、小児血液・がん学会、日本血栓止血学会

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