「うちの子、ひらがなに興味ない?」 就学前に気づきたい「読み書き」の苦手さのサイン|世田谷区、桜新町の小児科|さくらキッズくりにっくのブログ

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「うちの子、ひらがなに興味ない?」 就学前に気づきたい「読み書き」の苦手さのサイン

年長児がどのくらい文字を読めているかご存知ですか?

ひらがなの基本の文字『あいうえお+ん』(清音・撥音46文字)の範囲では、平均読字数は94.3%という調査があります(太田他,2018)。少し古い調査になりますが、年長児で1文字も読めない子どもは1%程度であったという報告もあります(村石・天野,1972)。

 

つまり、小学校入学前までに、ほとんどの子ども達はひらがなを読めるようになっています。「早期教育のせい?」と思われる方もいるかもしれません。ですが、この傾向は1970年代の調査からほぼ同様の傾向を示しています。時代や環境の変化、早期教育の有無等に関わらず、子ども達は生活のなかで文字に触れることを通して、自然にひらがなを読めるようになることが示唆されます。

 

就学前に全然読めなくても、小学校に入学してから明示的に教えられることで多くの子どもは読めるようになりますので、もちろん心配しすぎることはありません。

しかし、読み書きの苦手さのサインが就学前に現れていることもあります。今回の「ヨミカキのミカタ」では就学前に現れる苦手さのサインと、ご家庭で取り組める遊び、準備しておきたいことについてお話していきます。当くりにっく、読み書きサポートラボからの発信です。

※これらは診断のためのチェックリストではありません。年長児を対象に、今後の経過を丁寧に見ていくための目安です。 

チェックポイント1:文字への興味・関心があるか

4歳頃になると、多くのお子さんに「エマージェント・リテラシー(文字習得の前段階)」と呼ばれる姿が見られるようになります。まだ文字が読めないのに、絵本を持ってきてあたかも読んでいるかのように見せたり、お兄ちゃんやお姉ちゃんの真似をして、文字らしきものを書いたりするようになります。これは、文字が単なる絵や図形とは異なり、「音を表す」という特別な機能を持っていることを理解し始めたサインです。一方で、将来的に読み書きに困難をもつ可能性があるお子さんの場合、このような姿があまり見られず、文字への関心が薄いことが知られています。以下のようなサインは見られないでしょうか?

・絵本の絵ばかりを見て、文字を読もうとしたり「これ、なんて書いてあるの?」と聞いたりすることがほとんどない。

・自分の名前を書こうとしない、文字らしいものを書く(お手紙ごっこなど)ことに興味がない。

・「『さとし』の『さ』と、『さかな』の『さ』は同じだね」といった、音と文字の関係への気づきが極めて少ない。

 

チェックポイント2:ことばの「音」をバラバラに分解できるか

文字の学習には、耳で聞いた言葉(単語)がいくつの音でできているかを理解し、一音ずつに分解したり操作したりする力が必要です。これを専門的に「音韻意識(おんいんいしき)」と呼びます。例えば、「りんご」は3つの音、「ねこ」は2つの音でできていると認識する力のことです。以下の具体的な「言葉遊び」を通じて、この力が育っているかを確認してみましょう。

・自分の名前を言いながら手拍子を叩いたり、「グ・リ・コ」と一音ずつ言いながら、その数だけ一歩ずつ進んだりすることができますか?

・おはじき並べ…「みかん」「めがね」など、日常的な物の単語を言いながら、一音につき一つずつおはじきを置けますか?

・しりとり遊びが5回以上できますか?

 

 チェックポイント3:ことばの「音のイメージ」を正しく保てているか

文字を読み書きするためには、単語の音の並びを頭の中で正確に覚え、保っておく必要があります。単語の音のイメージや聞いて覚えておく力が弱いと、正しく再生することができず、単語の言い誤りが生じやすくなります。以下のような言い誤り(単語の音の増減や順序が入れ替わる誤り)が年長になっても頻繁に残っていないでしょうか?

・音の順番が入れ替わる…(例)「ブロッコリー」を「ブッコロリ」、「テレビ」を「テベリ」と言う。

・音の数の増減…(例)「クリスマス」を「クリスクマス」、「あきはばら」を「あきはらばら」と言う。

 

※「いしゅ(椅子)」や「ちゃかな(魚)」といった発音の未熟さではなく、音の順番や数が正しく捉えられているかがポイントです。

 

チェックポイント4:物の名前を覚えることや、指示の理解に時間がかかっていないか

文字と音を結びつけるためには、聞いた音を正確に覚える力も必要です。この力が弱いと、新しい言葉をなかなか覚えられなかったり、指示の聞き逃しが多かったりという状態像が現れやすくなります。以下のような様子は見られないでしょうか?

・友達の名前や先生の名前、クラスの名前などをなかなか覚えない。

・指示の聞き逃しが多い。

・長い音の連なりである、歌の歌詞が覚えられない。

 

読み書きの土台となる力を育てる遊び

 

上記のような様子が見られる場合、ご家庭では読み書きの土台となる力を遊びながら育むのがお勧めです。例えば以下のような遊びがあります。

 

・音すごろく

サイコロに動物等のシールを貼っておきます。出た目の言葉の音の数だけ、コマを進めます。2文字(さる、いぬ)→3文字(ごりら、きりん)→4文字(いのしし、しまうま)と難易度が上がります。伸ばす音(例:こうもり)や、つまる音(例:ラッコ)、ねじる音(例:シャチ)が入ると難しくなりますので、お子さんのレベルに合わせて調節してください。

 

・絵本の読み聞かせ

絵本の読み聞かせは語彙を増やし、書き言葉の表現に触れることができます。

 

・3ヒントクイズ

「私は果物です」「私は赤いです」「私はやわらかいです」といったクイズを出し合います。複数の指示を覚えておいたり、言葉のネットワークを広げたりすることが狙いです。

 

・しりとり

 

・その他、「おせんべい、やけたかな」「あんたがたどこさ」等も音韻意識を育てる遊びです。ぜひ、幼い頃に好きだった言葉遊びを思い出してみてください。

 

就学後に備えて準備しておきたいことは?

上記のチェックポイントに多く当てはまる場合は、経過を少し丁寧に見ていく必要があります。小1の夏〜秋頃になってもひらがなの基本の文字『あいうえお+ん』の読み書きができるようにならない、読むことに非常に時間がかかるといった様子が見られれば、専門家に相談するタイミングです(2年生以降ではこちらのチェックリストを参考にしてください)。その際、読み書き検査が実施できる施設に相談するのがお勧めです。チェックポイントに多く当てはまる場合は、万一に備え、お住まいの地域で相談できる施設を就学前から探しておくと良いでしょう。

 

当くりにっくの「読み書き相談」でも、年長さんのご相談を承っています。オンライン相談も可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。また、当くりにっくでは5歳児健診+(プラス)に読み書きのチェックも取り入れています。読み書きに心配のある方もそうでない方も、ぜひご利用ください。

 

文献

太田静佳・宇野彰・猪俣朋恵(2018)幼稚園年長児におけるひらがな読み書きの習得度.『音声言語医学』,59(1),9–15. 

 

村石昭三・天野清(1972). 幼児の読み書き能力 :.国立国語研究所報告, 45.

 

稲垣真澄(編)(2020)『吃音?チック?読み書き障害?不器用?の子どもたちへ―保育所・幼稚園・巡回相談で役立つ“気づきと手立て”のヒント集』診断と治療社. 

 

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院長 松岡 明希菜
記事監修
院長 松岡 明希菜

滋賀医科大学医学部医学科 卒業、大津赤十字病院初期研修医、滋賀医科大学医学部付属病院 小児科、静岡県立こども病院 血液腫瘍科、聖マリアンナ医科大学病院 小児科助教

日本小児科学会 小児科専門医、日本血液学会認定 血液専門医、小児血液・がん学会、日本血栓止血学会

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