WISC(知能検査)は2年以内に受けてはいけない?再検査の間隔とその理由を解説|世田谷区、桜新町の小児科|さくらキッズくりにっくのブログ

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WISC(知能検査)は2年以内に受けてはいけない?再検査の間隔とその理由を解説

1. なぜ「再検査の間隔」が話題になるのか

お子さんの認知的な得意・不得意を理解し、支援のヒントを得るためにWISC(ウィスク)などの知能検査を受けることがあるかと思います。その際、保護者の方から「また受けた方が良いのですか?」「2年はあけないといけないと聞いたのですが……」といったご質問をいただくことがあります。一般的には「2年程度間隔をあける」と定めている施設が多いと思われますが、なぜ「2年」なのでしょうか?これには理由があります。今回は、なぜ再検査までに2年程度の間隔をあけることが望ましいのか、過去の研究結果をもとに解説します。

 

2. 「練習効果」とは?:間隔をあける最大の理由

再検査の間隔をあけなければならない最大の理由は、「練習効果(Practice Effect)」を避けるためです。練習効果とは、短い期間に同じ検査を繰り返すことで、お子さんが問題の内容を覚えていたり、解き方に慣れてしまったりして、得点が上がることを指します。もし練習効果によって、お子さんの「本来の能力」以上に高い数値が出てしまうと、例えば以下のような不利益が生じる可能性があります。

・お子さんの実際の困りごとが見えにくくなる。

・実態に合わない高い目標設定や教育的判断がなされてしまう。

・本来受けられるはずの支援が「数値が高い」という理由で受けられなくなる。

 

3. 研究データから見る「2年」という目安

実際に、再検査の間隔によってどれくらいスコアが変動するのか、国内の研究データ(岡田ら、2010)を参考に見てみましょう。この研究では、発達障害のあるお子さんを対象に、再検査までの期間とスコアの変化を調査しています。

・1年未満で再検査した群
全検査IQ(FIQ)だけでなく、言葉の指標や動作の指標など、すべてのIQ・群指数の平均値が7.5〜10.2ポイントも大幅に上昇するという結果が出ています。これは練習効果の影響が極めて強く出ている状態と言えます。

・1年以上2年未満で再検査した群
言葉に関する指標には大きな変動は見られなくなりますが、動作や視覚的な指標、および全検査IQにおいて、4.0〜5.0ポイント程度の有意な上昇が認められました。

・2年以上3年未満あけた群
スコアの変動がほとんど見られなくなり、検査結果が安定することが示されています。

また、この研究では年齢による影響も指摘されています。特に5〜7歳の低年齢のお子さんでは、再検査の間隔にかかわらずスコアが変動しやすい傾向がありました。

※この研究は「日本版WISC-III」を対象としたものであり、指標の名称が最新版のWISC-Vとは異なります。

 

4. 公式マニュアルの扱いについて

以上の理由から、WISCは再検査までに2年あけるのが一般的ですが、最新のWISC-V(ウィスク・ファイブ)の公式マニュアルでは再検査までの最短間隔が一律に「〇年〇ヶ月でなければならない」と厳格に定められているわけではありません。再検査の判断は、あくまで「評価の目的」や「お子さんの心理状態」に基づいて、専門家が個別に行うべきものとされています。

例えば、公的な手続きに検査結果が必要であったり、急激な状態の変化を確認したかったり、といった理由で2年以内に再検査を実施することもあるかもしれません。その際には練習効果の影響を加味してスコアを解釈する必要があります。また、「混雑を避けるため」といった施設側の理由で、再検査の間隔を「2年以上」と定めている場合もありますので、実施時期については担当者とよく相談する必要があります。

 

〇最後に…

知能検査を受ける本来の目的は、高いスコアを出すことではありません。「お子さんを多角的に理解し、学校や日常生活でより過ごしやすくなるためのヒントを得ること」が真の目的です。再検査のタイミングに迷われた際は、医師や心理士等の専門家に「今の困りごと」を伝えながら相談してみてください。お子さんにとって最も意味のある検査となるよう、きっと一緒に考えてくれるはずです。

 

【参考文献】

岡田智・水野薫・横田圭司・川崎葉子(2010).発達障害の子どもの日本版WISC-III知能検査法の再検査間隔に関する研究―練習効果と安定性について―.児童青年精神医学とその近接領域,51(1),31–43.

日本版WISC-V刊行委員会(2021).日本版WISC-V知能検査 実施・採点マニュアル.日本文化科学社. 

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桜新町駅徒歩1分 さくらキッズくりにっく TEL:03-5451-0016

 

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院長 松岡 明希菜
記事監修
院長 松岡 明希菜

滋賀医科大学医学部医学科 卒業、大津赤十字病院初期研修医、滋賀医科大学医学部付属病院 小児科、静岡県立こども病院 血液腫瘍科、聖マリアンナ医科大学病院 小児科助教

日本小児科学会 小児科専門医、日本血液学会認定 血液専門医、小児血液・がん学会、日本血栓止血学会

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